1-4. 美しく咲く花の子、咲ちゃんの話。 4

そういえば、咲ちゃんはウーロン茶を飲んでいたんだった。。。 咲ちゃんには、ひとまわり歳上の私より、 もうひとまわり近く歳上の彼氏がいた。 計算的には咲ちゃんが20歳の時、40近く。 つい最近、付き合った事を聞いたばっかりだった。 咲ちゃんの彼の…

1-3. 美しく咲く花の子、咲ちゃんの話。 3

そして私の知らない間に、咲ちゃんは正規雇用者になっていた。 ふわふわと雲のように流れていた、透明感のある咲ちゃんは、 好きな人と、好きなだけ、好きな時に会って酒を飲んで騒いでげっぷしていたのに、 1本ピンと背中に細いけれどしっかりとしたハリガ…

1-2. 美しく咲く花の子、咲ちゃんの話。 2

アルコールの力を借りて、ひとまわり下の咲ちゃんと なんの隔たりも感じず今まで話していたけれど、 春の夜のはじまり、まだ少し夜と表現してしまうにはすこしだけ早くて、 明るさをほんの少し残した時間帯の、素面どうしのご対面は 私にとっては、とてもく…

1-1. 美しく咲く花の子、咲ちゃんの話。 1

咲(さく)ちゃんは、私よりひとまわり歳下だ。 彼女と出会ったのは、多分掛け持ちのバイト先のカジュアルバー。 雑貨をこよなく愛する咲ちゃんは、 経営の傾きかけたショッピングモールの有名雑貨店で テンチョーと呼ばれる圧倒的存在にいいように使われて…

1. 今夜もどこかで。

今夜もどこかで。 誰かが泣いている。 違う誰かは笑っている。 2文字の重圧から、 山登りでリュックサックを背中からおろすくらいの軽さで。 よっこらしょ。 言葉を発する。 時には、本人以外に感じ得ない、 ヨーヨーのような孕みの中の小さな鼓動を軽んじ…